離婚における調停前置主義
協議離婚を目指すことが難しい場合には、家庭裁判所の力を借りることになります。
その力の借り方としては、離婚調停と離婚訴訟の2つの類型がありますが、いきなり離婚訴訟を提起することは原則としてできないとされています。
すなわち、離婚訴訟の前提としてまずは離婚調停を申し立てる必要があるということです。調停というのは、当事者が顔を合わせずに行う話し合いのようなもので、調停委員に対して意見や進行方針の希望を述べることになります。
離婚事件は夫婦間の複雑な事情を考慮することが不可欠であり、可能であれば調停によって柔軟な解決を図ろうというのが、その趣旨でしょう。
このようにまずは調停を申し立てる必要があるという制度のことを「調停前置主義」といいます。
なお、調停が不調となり離婚訴訟が提起された場合であっても、その訴訟期日の中で和解により解決されることも多く、判決まで至るケースというのは、実はそれほど多くないというのが私の印象です。
中尾慎吾