「在監者の金銭の差押え」に関する記事のご紹介
加害者に対する判決は取得したけれど、加害者の財産どこにあるのかよく分からない(犯罪者というのは、財産をとられたくので、敗訴判決を受けても財産を隠したがるものなのだ。)。しかし、加害者は犯罪で得た財産で裕福な暮らしをしてそうだ。そういう場合は、警察が保管している金銭を差し押さえてみる。
警察署の留置場でも拘置所でも、在監者が日用品を購入するため、金銭の差し入れが可能だ。だが、差し入れた金銭が在監者に直接渡されることはない(盗難とかあるからね。コインだと自殺の道具になるし。)。警察署なり拘置所なりが保管し、売主である業者に代わりに支払う。在監者が釈放されたときは残余分を返還し、移送(移監)されたりしたときは次の管理者に引き継がれる。
この金銭の預かりの関係を預託関係と考え、在監者の預託金返還請求権を差し押さえるのである。
いくら勝訴判決を取得できたとしても、執行できなければ、意味がありません。執行できないというのは、つまり、相手方の責任財産を特定できないということです。
犯罪者ほど悪知恵が働くということでもありませんが、執行を逃れる方法を色々と模索している人も多いものと思われます。
執行を申し立てる側において、色々と工夫が必要なケースも多く、場合によっては泣き寝入りせざるをえないこともあるでしょう。
執行の可能性もふまえて、和解による解決を図ることもあります。責任財産の特定が事実上不可能であると思われるケースにおいては、任意の支払いを前提とする和解による解決が望ましいこともあります。
いずれにせよ、支払を求める側に、相当の工夫が求められるということは、現状の民事執行制度を前提とする限り、間違いなさそうです。