中傷記事のネット転載は名誉毀損…東京高裁判決
中傷記事のネット転載は名誉毀損…東京高裁判決 : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
インターネット掲示板などに書き込まれた中傷記事を「2ちゃんねる」に転載した匿名の投稿について、東京高裁が、転載でも名誉毀損きそんに当たると判断し、海外在住の日本人男性の訴えを認めて、投稿者の氏名などの情報開示を契約プロバイダー(接続業者)に命じる判決を言い渡していたことが分かった。
判決によると、問題の転載は昨年3~5月頃、ネット掲示板「2ちゃんねる」で匿名の投稿者によって行われた。他のネット掲示板や雑誌の記載内容を引用し、男性が国際間の違法送金や資金洗浄に関与しているかのように書かれていた。
男性は昨年10月、投稿者を特定するため、投稿者がネットを利用するために契約しているプロバイダーを相手取り、情報開示を求めて提訴したが、東京地裁は「公開されている内容を転載したものに過ぎず、それ以上に社会的評価を低下させるものとは言えない」として請求を棄却した。
しかし、今年9月の控訴審判決は、書き込みの内容を「真実ではない」としたうえで、「2ちゃんねるを見た多くの人が、転載元の記事や雑誌を読んだとは考えられず、情報を広範囲に広め、社会的評価をより低下させた」と認定。匿名で具体的根拠も示さない一方的な転載は公益性もないとして、逆転勝訴を言い渡した。プロバイダー側は上告せず、控訴審判決が確定した。投稿者の氏名や住所などは同月、開示された。
2ちゃんねるを見た多くの人が転載元の記事や雑誌を読んだとは考えられない、という点が、一番のポイントだと思われます。つまり、転載元の記事に乗っかかっただけではなく、不当に情報を広範囲に広めたと認められたため、その拡散者に法的責任を負わせる必要があるという判断でしょう。
インターネットの発達により匿名による表現行為が容易になりましたが、匿名だからといって責任まで免れるわけではないということですね。匿名により表現行為に及ぶ場合であっても、仮に実名であってもそのような表現行為をするのかということを考えてみてもよいかもしれません。
匿名は、最強ではなく、ある意味において最弱であるといえるのではないでしょうか。
中尾慎吾
bengoshi.soudan@gmail.com